舞台は大災害によって文明が一度消滅した世界。
『鳥の神』と『世界の王』によって再建された世界。
人々に大災害以前の記憶はなく、たとえ前時代の遺跡をみてもそれを使うことはおろか、それが何なのかさえ分からないのだという。
・・・とまあこの辺はありきたり(?)な感じ。
特に大災害というのはアルマゲドン的な設定ですしね。
序章から読み進めて、2の終わりの街に入って2ページほどしたところにこんな一文がありました。
人々が神の実在を疑うにはいささか早く、神のみにすがるには遅い――これは、そんな世界の、そんな時代の話だ。
ここまで本屋でさらっと立ち読みしてたのですが、この一文でこの本を買おうと思いました。
理由は自分でもよくわかりません。
ただ、ものすごくこの文が気になってしまったのです。
この本の時代のテーマであろうこのテーマをどう描ききるのか興味をもったというべきなのかもしれません。
そして読了。
すっかりこの世界に嵌ってしまいました。
特に、いい設定だなぁと思ったのは主人公カナギの「薬師」という設定。
魔法に頼るでなく、神に祈るでなく、自らの知識で人の体を癒すという職種。
▲の一文にすごく当てはまる職種ですよね。
他のメインの登場人物の職種は詩人ソラと暗殺者ミリアン。
前者は神の言葉を歌うもの。つまり、神に祈るものです。後者は、はっきりとは書かれてないですがおそらく紙の実在をそれほど信じてはいなさそーな職業。
これもテーマに沿った職業設定だったんですね~。
最初、読んだときは気づかなかったんですが。
ストーリーは淡々と進んでいくけれど、この本の世界は奥が深いなぁと思います。
本来のテーマは<いのち>ですが、描かれる時代のもたらすテーマも興味深いです。
今のところ3巻まで出ています。読み返してみるとまた新たな発見がある・・・かも?