訳者あとがきを読むまで、「ゲド戦記」というシリーズ名が日本語名だということを知りませんでした
てっきり原本でもそうなのかと
正式名は「
Earthsea Books」というそうです。
そのまま訳して「
アースシーブックス」とか「
アースシーシリーズ」、もしくは「
アースシーワールド」でよかったんじゃないかと思う自分。
ゲドはたしかに出てくるっちゃ出てくるけれど、主人公とは言いがたい巻も多いし。
この第4作目も主人公というには首をかしげてしまいそう。
それに『戦記』ってイメージがどうしてもわかないんですよね~
この巻は3作目の話の時間的には途中から始まってます。
ゲドとアレンがさいはての島へ行った時、世界のほかのところはどうだったのかという視点から始まってると言い換えてもいいと思います。
16年ぶりに続きを書いたというだけあってずいぶんと印象が変わった。
今までは暗いテーマをあげていても、その中にファンタジーとしての躍動感があった。
今回、それが減って、現実的な描写が増えた。
この巻は児童書として読むにはつらいかもしれない。
理由はあまりにも痛いから。
それと、翻訳のためなのか、もともとなのかはよくわからないけれど、相当注意して読まないと話のないようについていけなくなるというのも、児童書としては不向きと思う理由。
でも、小さい子でも大人でも、読んで欲しいですね。
初期三部作のテーマは『影』・『闇』・『死』と私は思いました。
今回のテーマは
『混沌』もしくは
『混迷』だったと思います。
この巻はファンタジーというより、灰色の現代社会そのものを映している作品でしょう。
これからまだアースシー世界の物語は続きます。ではまた次回に。